(祝!)第2話 三世代来てくれる理容室がやりたい
(無事、西大路七条上がったところに決まられました!オープン後リンクも貼らせていただきます。)
小林さんからのお問い合わせがあった時、私は美容室ではなく理容室、というところにとても興味が沸きました。
イギリススタイルな髪型が一部の若者の中でブームになっていたことから、ものすごくおしゃれな理容室がまちなかにできていたり、
一方で地元に帰ればいつも洗髪の椅子に座って新聞を読むおっちゃんも見ていたことから、どういうお店をどういう方がされるのか気になりました。
最初のきっかけは「儲かんぞ」
「中高時代通っていた理容室のおやじがめちゃくちゃ怖くてね、バイクで朝帰りする姿を見つけては『学校行っとるんか』って睨んでくるんですよ」
たまたま友達の紹介で通い始めた近所の理容室の話を懐かしそうに語る小林さん。
「びびりながらもずっとそこに通ってましたね。ある日将来の夢を聞かれて『選択肢がない』と言ったところ、
『理容師にならんか。儲かんぞ』って。高校生でしたからね、儲かるってんならやってみるかって、その道を選びました(笑)」
当時は多かった理容室
今でこそ男性も美容室に行く時代ですが、20年前当時は理容師さんも5、6人のお弟子さんを取っていたそう。
高校に行きながら通信制の専門学校に入学し、卒業後はおやじさんの紹介で、お師匠さんの元につかれます。
「理容室のおやじには卒業してから会ってないですね。独立したら挨拶に行こうと思とんです。」
小林さんははにかみながら言います。
「これでいく」と約束した
ほとんど稼ぎがない弟子時代を5年経た頃、お母さまが倒れられました。
母子家庭だった小林さんは、ちゃんと稼げる仕事に就こうと思い、お母さまに相談しました。
「辞めんで」ー ボーナスもない、有給もない、こんなにしんどいなら…
初めは何で理容師なのかと首を傾げていたお母さまでしたが、
手に職を持った小林さんをとても嬉しく思っていることがわかりました。
小林さんが、理容師の弟子から一理容師へ変わった瞬間です。
(ちょうど、従業員の方の娘さんがスタッフ入りすることが決まった日で、皆さん嬉しそうでした。)
「三世代来てくれる理容室がやりたい」
この道18年の小林さんに、初めて切ったお客さんのことを聞いてみました。
弟子時代のこと。練習ばかりでしたが、そろそろ切ってもいいと師匠からお言葉をもらい、
「次来た人、切ります」と言ったその時、ちょうどお客さんが入ってきました。
「しゃべりまくりましたよ。手元を一生懸命隠して!(笑)」
ものすごい緊張の中終了し、感動はその次の月にやってきました。
「初めてのリピーター。心の中で飛び上がりました。あの瞬間も、お客さんの顔も忘れられません。」
リピーターがこなかった時、「髪型が気に食わなかったかな、あのしゃべりが悪かっただろうか」と
小林さんは毎日自問自答するそうです。切ったお客さんを本当に大切にされる方だということがわかります。
「できれば3世代みんな切りたい。遠くに切りに行けないおばあさんも」
「今の常連さんも大切にしたいけど、お世話になった理容室や友人の理容室周辺はダメなんですよ。」
そんなこと言っていたらお店出せる場所なくなっちゃうんじゃ…とこちらが心配してしまうほど、
お客さんだけでなく業界全体のことも想える、義理人情の人。
七条あたりの建物とスタッフを募集されているので、私も全力で応援したいです。
(ライター:めい)