マッチング完了報告!恵みを活かしてとびきりの珈琲を届ける珈琲焙煎所


借り手の第6話でご紹介した方がこの度素敵な建物との出会いを経て、お店を開かれました!

今回はそのお店を訪ね、出店までに紡がれた物語に迫ります。

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前回取材をさせていただいた2015年の9月の段階では

会社員をしながら、土日のお昼間だけ場所を借りてカフェをされていた北辺さん。

 

「あの時は、何が美味しい珈琲で、伝えたいことは何かということが

わかっていなかった。」とおっしゃる北辺さんですが、

そのわずか1年半後に、珈琲はもちろんのこと、

自分でDIYをしたり図面をひいたりと空間作りにもこだわりが詰まったお店

珈琲焙煎所 旅の音」をオープンされました。

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短い期間で、こだわりを込めたお店を開くことができた秘訣は何だったのでしょうか。

開店をめぐるストーリーに寄り添いながら、その秘訣に迫ります。

 

 

平日は会社員 休日は焙煎、豆の研究と珈琲漬けの日々

 

大学在学中カフェでアルバイトをしていた頃から、自分のカフェをオープンすることが夢だった北辺さん。

しかし、はじめに就職したのは食品卸売会社だったそうです。

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「将来的にカフェを出すために、一度飲食業界を抜けて客観的な立場から

食べ物の生産から加工、消費まで全体を見てみようと考えました。

店内のレイアウトや価格設定、コンセプトなどの店作りの構想を練る必要があると思ったのですが

もし僕がカフェに就職しそこで技術を学んだとしたら、次自分が出店しようと思った時

その店で学んだことを受け継ぐことになり、発想が狭まってしまうのではと思ったんです。」

食品卸売会社で働いたおかげで、生産者など食べ物の生産から消費まで全体に意識を向けられるようになり

『生産者の情熱をカップに表現し 特別な珈琲を』というコンセプトに繋がったんだそうです。

 

ガレージの焙煎所からスタートし生産者の情熱を1杯の珈琲に

 

北辺さんのメニューには、季節に合わせた6種類の珈琲が並んでいるのですが

「珈琲にはこんなにも違いがあるのか!」と感動するほどに美味しく、

豆の持つ個性が洗練されています。

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今ではとびきり美味しい珈琲を提供する北辺さんですが、この味を提供できるようになるまでには

ガレージを借り日夜焙煎に励む日々を送った時期がありました。

「豆の焙煎は大学時代からやっていたのですが、本格的にやり始めたのは

土日にやらせてもらっていたカフェをやめた時ですね。

焙煎について本気で勉強しようと思い、休日はずっと打ち込んでいました。

はじめは思うように焙煎ができなくて、焼いた豆を全部捨てたりと、

うまくいかない日々が続きましたが、初めて自分の出したい香りを出せた時は本当に嬉しかったです。」

焙煎を始めたことによって「本来持つ香りを生かして珈琲を淹れたい」という想いは

珈琲豆の原産地を訪れた際にまた大きくなったのだそう。

 

「美味しい豆とそうでない豆はどんな違いがあるのかを知るために

珈琲豆の原産地のタイに見学に行きました。

そこで、豆の味は産地の気候条件だけでなく栽培方法でも大きな違いが出てくるとこと知りました。

丁寧に育てられた豆は、やはり丁寧で繊細な味がするんです。

豆の栽培現場を見たことで、どのように栽培された豆を使い、

焙煎と抽出でどう引き立てるかということに焦点を当てるようになりました。」

 

 

 

開店までの早さの秘訣は退職前までの準備期間

 

開店を決意してから約5ヶ月、物件の決定から開店まで約3ヶ月と、

すごいスピードでご自身のお店を開店された北辺さん。

その秘訣は、退職前までの準備期間にあったようです。

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「大学時代から飲食店を開きたいと言っている人を集めて交流会や勉強会を開いていました。

その中で、友人が僕より先にお店を開店する際に、準備を手伝うことも多くあり、

そこで開店までの大まかな手順を覚えました。

手順に関して一番勉強させてもらったのは会社員時代、大学時代の友人から

『カフェの開店準備を一からお願いできないか。』という依頼を受け

キッキンの内装に関することや、スタッフの方へ珈琲の抽出の指導までやらせてもらえたことです。」

実際に自分でやってみることで、気をつけるべきところや資金の配分など様々なことを学んだのだそう。

 

珈琲豆の焙煎と、店舗の立ち上げの経験を経て、お店を持つという夢が現実的になってきた時、

物件が見つかる前の2016年9月「今年いっぱいで会社を辞めよう。」と、退社を決めたんだとか。

 

「辞める前は失敗したらどうしようと心配していましたが、辞めると決めてからは前向きになりました。

『決めたんだから、あとはやるしかない。』というような気持ちだったんです。

そこから、物件探しや商品の開発に力を注ぐことができました。」

 

ご縁という恵みにしっかりと応える

「ご縁に恵まれた部分が大きいように思います。」という北辺さん。

大学時代の同じ夢を持つ人同士やお店の近隣の方と縁を通じて、

人が集うお店ができたとおっしゃいます。

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地域との連携を大切に地域から備品を購入したり、

店舗改装段階から商品開発まで情報発信をしたりと、

周りの応援をしっかりと受け止め、大切にされている姿勢を感じました。

 

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『与えてもらった恵みを、しっかりと活かし、大切にする』

それはまるで、大地の恵みをたっぷりと受けた豆を活かして焙煎し注がれる珈琲と同じように

自分の人生に注がれた恵みを活かす北辺さんの想いと行動が、今に繋がっているのでしょう。

 

お店の場所はこちら。

ぜひ一度、訪れてみてください。

ライター:大西芽衣・めい