(祝!)第12話 家族で暮らしながら八百屋を営んでいた町家
こちらの家主さんは、素敵なマッチングを完了されました!
日中は車や自転車がスイスイと過ぎる、少し大きな通に面した京町家。
ここは以前、ご家族みんなで暮らしながら野菜を売っていた八百屋さんでした。
築65年以上経ったこの町家は、八百屋のご家族が引っ越されて以降、空き家のままになっています。
最近では隣の町家に、京都で有名なお菓子屋さんが入るなど
少しずつ、町を活気づける兆しとなる場所が生まれはじめています。
ご案内人は、地域の縁を繋ぐ “京町家専門” の不動産屋さん
次なる町の賑わいの場となりそうな、八百屋さん時代の名残りもあるこの興味深い物件。
ご紹介くださるのは「京町家専門店 エステイト信」店主・井上 信行(いのうえ のぶゆき)さんです。
井上さんは、法律事務所や、賃貸や売買を広く扱う不動産会社での勤務経験を経て
平成9年に独立し、その後「京町家」を専門とされるようになりました。
地元京都が今まで築いてきた歴史や、育んできた人と人との縁ある暮らし。
井上さんは、大好きな地元に恩返しをすべく、地域の想いを受け継いで繋ぐ役目を担いたいと
「京町家」という職住一体型で暮らしに深く関わる分野を選択して、不動産屋を運営されているのです。
新しく暮らす人たちも、地域との縁を育みやすいように
そんな想いのもと、井上さんは、他の不動産会社ではなかなか見ないような取り組みをしています。
例えば、物件探しで訪れた人に対して、地図を用いて、歴史から見た該当地域の成り立ちを説明するのです。
物件単体だけでなく、その地域にどんな暮らしが息づいてきたのかを具体的にお話してくださいます。
また、新しく地域に住み移ってきた小さなお店同士が繋がる機会が生まれるようにと
「観光地ではない京都を歩く、町家ショップらりぃ」という町巡りのスタンプラリーを
「特定非営利活動法人 京町家・風の家」という顔を持って、お店と協力して実施することもあります。
他にも、各店舗を会場として、お茶体験や風呂敷のワークショップを実施するなど
伝統文化を学んで、地域全体の縁を一緒に育んでいけるような取り組みを積極的に行っています。
家族で暮らしながら八百屋を営んでいた町家
さて、そんな井上さんがご紹介くださる今回の物件を見ていきましょう。
大きなシャッターを上げると、そこには広々とした土間があります。
かつては、真っ赤なトマトや青々とした葉ものが売られ、地域の野菜どころとして賑わっていたのです。
当時、新鮮な採れたて野菜の泥を落として販売するために、土間の中央奥には洗い場が設置されています。
昔、八百屋さんでよく見かけた、天井から吊るされたお金を入れる籠。
その名残りで、今も天井から吊るすために付けられたバネが垂れ下がっています。
洗い場の後ろには、奥の居間と繋がる小窓があります。
昔は休憩時間にでも、この小窓から店内の様子を見ていたのでしょうか?
居間のテーブルは、昔ならではのつくりをした掘り炬燵があります。
さらにその奥に6畳の和室が続いています。
よく見ると、上にはかつての神棚が残っています。
通り庭には台所もあり、昔ならではの業務用の大きなコンロがあります。
奥の扉を開けると、コンクリートの土間の庭が出てきます。
入って右手に見える奥の扉を開けると、脱衣所経由のシャワールームになっています。
そして反対側には男女それぞれのお手洗いがひとつずつ。
横には手を洗う洗面台もあります。
さて、居間に戻って二階へと上がってみましょう。
二階は6畳の和室が2つと、2.5畳の和室が1つあり、押し入れや床の間もあるため
なんだか広く感じられます。改装すれば、二階をゲストハウスやシェアハウスの
複数名が寝泊まりするスペースとして使用できるかもしれませんね。
以前は雨漏りをしていたことがあり、一部天井がたわんでいますが、改善されたとのこと。
窓を開けると、意外なくらい広めのベランダがあります。
通に面した立地で、玄関側が広い土間になっていることからも
多くの人が行き交う賑わう場として、活用できると良いかもしれません。
周辺のお店さんと繋がりながら、まちに活気を生む拠点となっていけたら素敵ですよね。
一緒に京都に根差して暮らしていく人を
井上さんが大切にされている言葉は「点と点が繋がって、線となり、やがて町になる」ということ。
“人と人”そして、“人と町”の繋がりを大切にしながら、京町家の職住一体型の暮らしを営んでいきたい、
そんな想いをお持ちの方がいらっしゃいましたら、ぜひ京都物語商店までお気軽にお声掛けください。
井上さんとご一緒に、町を活気づける兆しとなる点を、鮮やかな線から彩りある豊かな面へと広げていきましょう。
(ライター:FootPrints 前田 有佳利)



























