マッチング完了報告!新しい道を切り拓く花のアトリエ


京都物語商店を通じて、見事マッチング に成功された方にお話を伺います。

新大宮商店街を歩いていると、ひときわ目を惹く建物があります。

凹凸のある外壁、温かな黄色の軒先テント、そして大きな八角形の窓。

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かつてかしわ屋さんだったその建物の家主さんは、

近くでパン屋を営まれていた中村さんです。

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「地域を盛り上げる新たな担い手として、長く活用してくださる方に入っていただきたい。」

そんな思いが込められた建物を借りられたのは、林さんでした。

林さんはお花のアレンジメントをして発送したり、

飲食店、企業に出向いてお花を活けるお仕事をしていらっしゃいます。

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そんな林さんが開くのは花のアトリエ「EDGE(エッジ)」。

人々が集まって、クリエイティブな時間を過ごせるような場所にしたいとのことです。

もともと北部の郊外でアトリエを持ちたかったという林さん。

お花を仕入れる市場からは遠い場所ですが、

新大宮商店街の静かな雰囲気と再活性化の可能性、

そしてアトリエ使いにぴったりな広いお店にビビッときたのだとか。

開放感があり、床排水のある店内は林さんの理想でした。

商店街との調和も大切にしたいので、際立っておしゃれな雰囲気にするのではなく、

EDGEの哲学が込められたシンプルで無骨な内装、

そして昭和初期から続くというこの建物の物語を感じられるお店にしたいと、

ご自身でリフォームもされています。

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「自分たちの手でやった方が愛着も湧くし長いこと使えるってのもあるんで。

多少アクセスが悪くても“あの人に会いたい”と言って来てもらえる、

そんな場所を目指していきたいです。」

そうやってお店を愛し長く続けていきたいと思っていらっしゃいます。

商店街の人との距離が近いこともこの建物を選ぶ決め手になったそうで、

隣のおじいちゃんがお野菜を分けてくれたり、近所の人が顔を出してくれたり、

さらには「地蔵盆のお供えのお花はお兄ちゃんとこに頼むわ」と言ってもらえたりと、

既に地元にも馴染んでいらっしゃるようです。

しかし、そんな新大宮商店街も昔と比べるとシャッターが下りているお店が多くなったとか。

店主の引退と共に人通りも減り、かつての賑やかさは失われつつあります。

そんな中で林さんのような若い方が来てくれたのは、商店街からしてもありがたいとのことでした。

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家主の中村さんは笑顔でこうおっしゃいます。

「若い人がいらっしゃってくれて本当に嬉しいんです。

これがきっかけでたくさんの人が商店街に来てくれたらいいですね。

空けておくくらいならこうやって借りてもらえたら嬉しいし、

少しずつかつてのような活気を取り戻せたら。」と中村さんは願っています。

「若い世代を呼ぶには、活躍している同世代がいること、

そして集まれる場所があることが必要。」と林さんは考えていらっしゃいます。

「写真家だったり音楽家だったりと、もっといろんな職業の人が、

EDGEに集まって仕事ができたらいいなと思うんです。

それで商店街の中でお客さんが行ったり来たりして、

外からもいろんな人を呼べたら素晴らしいと思うんですよ。」

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「商店街というコミュニティの中で、人を呼ぶひとつのきっかけになればと思っています。」

と林さんは笑顔で応えてくれました。

(今回お話を伺ったお二人については 家主第14話、借り手第8話でご紹介しています。)

ライター:笠井淳